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「予算が無いので、スタントマンを雇えないんです。でも皆さん、顔も格好いいから、是非とも!」
……この女、なかなか分かってるじゃねーか。
「で、犬、キジ、猿の三人の依頼ですか。因みに予算は……?」
俺が尋ねると、女はスマホの電卓をポチポチさせた。
「お一人、これぐらいでどうか……」
そう表示した額は……。
平均依頼額の10分の1の値段だった。
「えーっと、バイクの戦隊シーンは?」
「あります!」
「爆弾か火の中を潜ったり、崖から飛び降りたりとか」
「全部あります!」
……全部あるのかよ。
「申し訳ないけど、スタントマンって命がけなんだよ。だから、莫大な保険に入っているし、この額で長時間、しかも三人も拘束されるなら、『ONIGASHIMA』は破産だ」
なかなかの魅力的なおっぱ……話だが、
マイナス面が強すぎる。
そう思って、苦渋の発言だったのに……。
バァァッン!!
「鬼島さん、酷いっす!」
号泣しながら、扉をぶち抜きやがったのは、
猿渡 忍(さるわたり しのぶ)二十歳のバッリバリの元ヤンキー。ホウキみたいにパリパリに立たせた髪が怖い。
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