鬼から、ヒロイン募集のお知らせです。

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「さ……猿渡君。どうしたのです……だね?」 敬語で話しそうになって慌てて、リーダーとして威厳ある話し方に変えた。 だって俺はイケメンだもん。 いくら7歳年下でも、元ヤンは怖いもん。 そう思いつつも、気付かれないようにこやかに振る舞った。 「こんな山の中にわざわざ来てくれたんッスよ!? 助けを求めて来た女を追い返すなんて、まじ男として小せぇですよ! 見損ないましたよ!」 そう俺とキスしそうなスレスレで睨んで来やがった。 メンチを切るかなんか知らないけど、本当に怖いから止めて下さい……。 「あの……。私、本当は助けを求めてやってきた訳じゃありません」 女はぷるんと胸を揺らすと、俺を睨み付けた。 「もし私の依頼を断るおつもりでしたら、 私は此処『ONIGASHIMA』と『鬼島さん』を退治致します」 そう言って女が取り出した名刺には、 『桃太郎カンパニー 社長秘書 桃太郎 凜子(ももたろう りんこ)』 と書かれていた。 も……? 「桃太郎?」 雉が首を傾げた。 「カンパニー?」 猿渡も頭をひねる。 「社長秘書!」 「はい、鬼ヶ島さん。お呼びで?」 俺の悲鳴に、犬飼までやってきた。
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