第1章

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場所――京都の古本屋。 人物 おばあさん ある日突然怪獣になってしまった、この店の店主。怪獣といっても、ゆるキャラかぬいぐるみのようにころころしていて、見るからに無害な出で立ち。大きさは三十センチほど。鮮やかなオレンジ色の体色は、性格そのもの。「さあ、なんでもやってやるよ!」を合言葉に、古い店の中をゴムまりのように飛び跳ねる。いろんな人(特に店の前を通る女子高生たち)によく「かわいい~!」と抱き上げられるが、本人は馬鹿にされたと感じるらしく「年上に何すんだい!」とじたばたして暴れだす。ただし、おじいさんに抱き上げられるときだけは、少し頬を染めて、幸せな表情でされるがままになっている。人間が怖い孫娘を引き取って、おじいさんと三人で店の二階に住んでいる。 おじいさん おばあさんの夫。銀髪に大きな眼鏡の、もの静かな老紳士。口数こそ少ないが、いつもニコニコ笑っていて、人当たりが良い。初めてのお客の相手は、個性の強すぎる他の店員たちに代わって、この人がしている。ただし、バイトの採用基準は「面接用の机の上に何食わぬ顔で腰掛けているオレンジ色の怪獣が、実は店主であったということを知ったときに引かないこと」。 ナビ 近くの大学の生徒で、アルバイト。全てをニュートラルに見つめていて、世間の動きに関心がない。気ままな猫のような存在。いつでも眠そうで、時折店先のベンチに寝転がり、金色の陽光の中で昼寝をしている。ハーフで、瞳はカワセミの色。金髪交じりの茶色い髪を、無造作に後ろで括っている。性別は中性(どっちもしっくりこないそう)。古本にやたら詳しく、書籍検索システムの役目を果たしていることから、「ナビ」と呼ばれている。 タネちゃん 同じくアルバイト。天真爛漫な、童顔の男の子。髪が一房、頭のてっぺんにぴょこんと立っている。ナビに懐いていて、「ナビちゃん、ナビちゃん」と近寄っていく(ナビも嫌がっていない模様)。一番最近読んだ本の登場人物になりきって、登場人物と同じ能力を使えるという特殊能力を持っている(例えば、「走れメロス」を読んだ場合、太陽の十倍速く走りだす)。能力発動は好きなときにできるが、解除のためには、頭のてっぺんの髪を誰か(たいていおばあさん)に引っ張ってもらわなければならない。本名の「種田」とドングリのような髪型から、「タネちゃん」と呼ばれている。
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