よく間違われますが、わたしは姉です。

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「バスケも頑張ってるし、文句なしだね」 「別に褒められたことじゃないでしょ。普通よ、普通。ていうか、毎日毎日汗だくのTシャツ何枚も持って帰ってさ。洗濯するの大変なんだから」 「別にあんたが洗濯してるわけじゃないじゃん」 スカした態度で言い放つ透子に、言葉をなくした。 そりゃ、確かにそうだけど。 それでも脱衣所に行くと、蓮児のニオイが充満してる。別に、臭いとかいうわけじゃないけど。 「でも蓮児くんの汗が染み込んだTシャツとか、高くつくだろね」 「げっ…気持ち悪いこと言わないでよ」 前の席で目を輝かせながら勝手な妄想を繰り広げる透子の椅子を、小さく蹴ってやる。 「蓮児のやつ…外面だけはいいんだから」 「イイ子だよー、本当。いっつも挨拶してくれるよ?」 「それは、猫を被ってるっていうの」 「じゃ、普段はどんなの?」 普段の蓮児だとぉ? 部活のせいで冬でも汗だくで帰ってくるし、前述の通り長風呂だし?ノックもなしに部屋に入ってくるし、テレビ見てるわたしからチャンネル取り上げるし? 「あ、昨日は食後に取っといたプリン、勝手に食べた!」 忘れてた。買って帰るように言っておくんだった。 「かーわいい」 「だから、どこが?代わってあげたいぐらい」 わたしからすれば、ただの生意気な弟。それでも不思議なのが、透子みたいに蓮児にうっとりする女の子が多いってこと。 さっき蓮児が言ってたみたいに、お嬢様に絡まれたって言う話も、多分嘘じゃない。二駅向こうのお嬢様学校の子たちだろう。 「わっかんないなー…」 「一回、蓮児くんと他人になったらわかるよ」 「じゃ、一生わかんない」 蓮児の格好良さなんて、別に知りたくないし。
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