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朝のワイドショーで、昨夜のニュースが流れている。 結婚詐欺師が捕まったらしい。 見た事のある街並み。 見た事のある男が、顔を下に向けて、連れていかれてる。 その後…画面は切り替わり、 子供を抱いている女達が写った。 そして… 【被害者の会】の代表の女が、子供を抱っこしながら、何か話している。 スタジオのコメンテーター達は、口々に言う。 「仕事ばかりしてきた30代後半から40代の独身女性達を狙っての酷い事件ですね。 FBで、言葉巧みに口説く。 いざ会えば、既婚者なのに、奥さんとは別れる。貴女と一緒にいたいと、言葉巧みに口説く。 まぁ、背の高い爽やかな男前ですものね。 女性達は、信用しますよね。 その年代は、プライドは高いですが、でも内心では結婚したい、出産もしてみたいと思ってる世代なんです。 その年齢まで、独身で働いているのですから、お金も持っているでしょう。貯金だってかなり持っている人もいるのでは無いでしょうか!? 尚且つ、そんな女性達に、最後のチャンスかも知れない子供まで作っておいて、結婚しよう。だなんて! 彼女達は、彼を両親に会わせ報告し、 男は、身籠った彼女を心配する振りをして、 自分が代わりに家を探してきたと言っては、上手く頭金を払わせるように仕向ける。 そして金が手に入ると、消え去る。 その頃には、女性達のお腹の子供は、中絶出来ない時期に入っている。 それにしても、あれだけの人数の被害者の会の女性からせしめたお金でしょう!? 堂々と、こうして出てくる女性達以外にも、被害を受けた方が、沢山いるかも知れない。 それほどのお金を、何に使ったのでしょうね!?」 私は、テレビを消した。 何が起きたのだろう。 嘘でしょ、良君…。 暫く放心状態に陥った。 低い声、はにかむ笑顔、温かい手、広い背中、私を優しく抱いてくれた良君しか思い出せない。 良君…良君…良君…。どうしたの…良君。 会いたい。 私は、泣き崩れた。 でも… 私… 良君の事… 何も知らない。 良君との繋がり… FBのメッセージだけだったね。 涙が涸れて、もう目からは、何も落ちて来ない。 (仕事に行かなきゃ…。) 私は立ち上がった。
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