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ある地方都市。その郊外。
昔ながらの街並みに、程よく鄙びてたたずむ風呂屋。
「いってきまーす!」
彼の名前は、風呂マジくん。
風呂マジくんは、高校生。
いつも風呂について考えている。
風呂については、誰より詳しい。風呂屋の両親より詳しい。
明るく、楽しく、元気よく。今日も自転車で学校へ。
昔ながらの学ランを、朝から風にはためかせ。
「こらーっ! 制服は、ボタンを留めろ!」
老先生に、べっとあかんべ。先生と彼は、犬猿の仲。
両親のもとでバイトしてるのも、怒られるから、絶対ないしょ。
友達からは、人気が高い。
楽しい冗談、たくさん言うから。
まじめなときはまじめだし、何より自分を持っているから。
「世界一の風呂屋にするんだ……」
風呂マジくんは、そう思ってる。
もちろん、家の風呂屋のこと。
お客さんには元気よく。
床のそうじもしっかりと。
風呂マジくんの風呂屋さんは、
今日も開店。
「いらっしゃいませー!」
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