第1章

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ある地方都市。その郊外。 昔ながらの街並みに、程よく鄙びてたたずむ風呂屋。 「いってきまーす!」 彼の名前は、風呂マジくん。 風呂マジくんは、高校生。 いつも風呂について考えている。 風呂については、誰より詳しい。風呂屋の両親より詳しい。 明るく、楽しく、元気よく。今日も自転車で学校へ。 昔ながらの学ランを、朝から風にはためかせ。 「こらーっ! 制服は、ボタンを留めろ!」 老先生に、べっとあかんべ。先生と彼は、犬猿の仲。 両親のもとでバイトしてるのも、怒られるから、絶対ないしょ。 友達からは、人気が高い。 楽しい冗談、たくさん言うから。 まじめなときはまじめだし、何より自分を持っているから。 「世界一の風呂屋にするんだ……」 風呂マジくんは、そう思ってる。 もちろん、家の風呂屋のこと。 お客さんには元気よく。 床のそうじもしっかりと。 風呂マジくんの風呂屋さんは、 今日も開店。 「いらっしゃいませー!」
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