汚れたレポート

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俺は口が動かなかった。 誰だって驚く筈だ。 死んだ姉が、窓に座っているのだから。 声にならない悲鳴と共に、尻餅をついた。 再開できた嬉しさと幽霊じゃないかという怖さが俺を取り囲み。 そもそも可笑しいじゃないか。 なんでここにいるんだよ。 俺は、昨日見た悪夢から継いで幻覚を見ているのか? 目を擦ることもできない。 指は震え、爪先で床を細かく叩いていた。 姉は相変わらず、他人の行動を気にする事もなく、ただ呑気に 「龍也に見せたいものがあるの」 と言った。 微笑んで、低い窓枠から飛び降りる。 俺の側を通り、手が透けたり通り抜けたり溶けたりする事もなく、人間の常識としてドアを開けて廊下へ出て行った。 バタン、とドアの閉まる音。 なんだったんだよ。 深呼吸をして立ち上がり、タンスから手探りにTシャツらしきものを引っ張り出す。 それは半袖のシャツだったが、構わず着る。 3日ぶりの着替えを済ませ、窓を閉めるのも忘れて俺は慎重にドアノブを回した。
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