お化けの服屋さん

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 夜間定時制のその高校に転校してきたのは、弾ける笑顔の女の子だった。  チョークで黒板に書かれた名前は、  藍  染  美  優  あいぞめ みゆーー明るい声でそう名乗った。  絹糸のような、柔らかそうな髪。  サテン生地のような、なめらかなツヤのある肌。  そして黒いボタンのような、まるくて大きな瞳。  可愛い顔だった。  すんなりと伸びた手足。細い腰は折れそうで、でも貧相な印象は無い。  モデルを通り越して、マネキンのようなスタイルの彼女は、にっこり笑ってあいさつした。 「昼間は服屋さんで働いてます。今着てるのも商品です。  趣味はーー『お化けを集めること』です」  クラスの誰もが呆気にとられた。  けれど、藍染美優はおかまいなしに続けた。 「この中に、『学校の七不思議』『心霊スポット』『悲劇的な都市伝説』『開かずの扉』『呪いの人形』『自殺の名所』『肝試しにうってつけの幽霊屋敷や廃墟』などなどにお心当たりがある方は、どうぞ私にお知らせください。  心霊現象ありしところに、藍染美優は、常に推参します!」  こいつやべぇ。  クラスの誰もがそう思った。
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