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ココだけの話、と藍染美優は声をひそめた。
「うちの店は、一見、移動販売の服屋さんですが、その実はーー『お化けの服屋さん』なんです」
「お、『お化けの服屋さん』?」
「さっきいたお兄さん、店長兼職人さんなんですけど、あ、名前は安寿〈あんじゅ〉さんと言います、安寿さんは、お化けを服にできるんです」
どういうことだ。
「お化けが持つマイナスの感情ーー〈憎しみ〉〈怨み〉〈呪い〉〈悲しみ〉だけを取り出して、一本の糸にして、それで布に加工して服にするんです。そういう能力を持った人なんです。
作った服は霊能力者の方に、除霊用の勝負服としてお譲りしてます。魔除けの効果がすんごいんですって」
「つまり……藍染さんは、その素材調達のために幽霊話を集めてるわけ?」
「はい!」
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