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リベルス国 バルリッツ町。この町は、昔から貿易の拠点として発展してきたしてきた。昔ながらのレンガ造りや木造の家などが立ち並ぶ比較的穏やかな場所である一方、企業のビルやショッピングモールなどもあり、住みやすい町として人気がある。
そんな町にひっそりと建つの二階建てのアパート。築三年ほどの新しい建物で、ほとんどの部屋が埋まっている。
そのアパートの204号室。ちょうど二階の真ん中にある部屋に、黒髪の
少年が住んでいた。
彼の名前は、“リュータ=クロッツ”。歳は十七。ボサボサな髪、シワのついた白いTシャツに、下はジャージという格好。
部屋はカーテンによって太陽の光を遮断しており、彼の目の前にあるパソコンだけが唯一の光源である。
彼の見た目と部屋の状況からわかるように、リュータはいわゆる引きこもりと呼ばれる人間だった。
「うぉっ、またレベル上がった。このイベント、最高だな。」
リュータは、オンラインゲームに興じていた。すでにやり始めてから十三時間。食事やトイレに行く以外、この椅子から立ち上がることはない。
一人暮らしで家族がいないため、このような生活を止める者は誰もいない。さらに、リュータが今まで稼いだ貯蓄はかなりのもので、今更働く必要もなかった。
「さてと、次はこのダンジョンに潜り込もう。」
リュータがマウスとキーボードを操作していると、突然、部屋にチャイムの音が鳴り響いた。
もちろん、リュータは無視する。すると、再びチャイムが鳴る。それも無視していると、今度はチャイムを連打された。
「誰だよ、うるさいな。」
ドアを開けたらこの騒音を止めることができるのだが、リュータは頑なに動こうとはしない。訪問者とリュータの我慢比べが始まった。
しばらくすると、チャイムの音がふと鳴りやんだ。
「諦めたのか。」
勝利を確信したリュータはほくそ笑んだ。その時、とてつもない爆発音とともに固く閉ざされていた扉が吹き飛んだ。
「なんだ、いるじゃねぇーか。」
灰色の煙の中から、茶髪をポニーテールに束ねた女性が現れた。
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