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「これが殺人現場の写真だ」
エリサはポケットから一枚の写真を取り出し、リュータに手渡す。その写真には、家の白い壁に大きく魔法陣が描かれていた。その魔法陣は、赤、青、黄など様々な色が使われていた。
「何ですか。このカラフルな魔法陣は…。」
「どうやらペンキのようなもので描かれているらしい」
リュータは呆れた表情を見せた。
殺人ではよく術式が使用される。
通常、術式は国の認可が下りた専門店で売られている。術式を買う際は身分証明書の提示などが必要になる。
さらに、術式を使って魔法を発動させた場合、その術式を買った店にその情報が送信される。情報が送信されるような魔法言語を術式に組み込んでいないものは販売できないようになっている。
これは世界中同じ方法であり、条約により厳しく規制されている。
そのため、店で買った術式を犯行で使えば、すぐに足がつく。用意周到に準備して犯行を起こす際、犯人はあらかじめ自分で魔法を作ったり、闇サイトなどで購入したりするケースが多い。
犯行に使う術式を紙に書いて、それを犯行後に燃やせば凶器がなくなり警察の捜査をかく乱させることができる。しかし、術式に知識のない人間では、今回のように魔法言語をうまく組み合わせることができず奇妙な魔法が誕生してしまうのだ。
「さてと、解読しますか」
リュータは写真をじっと見つめる。
「発動条件は…白い壁に、決められた色を使って魔法陣を描き、二時間後に発動するみたいですね。」
リュータはすらすらと術式の意味を紐解いていく。普通の学者なら何冊もの分厚い書物から一つ一つ探すのだが、彼は何も見ることなくものの数秒で読み取った。
「えーと、二時間経つと周囲三メートルの振動を感知して、振動した方向に向かって高魔力弾を一発だけ放つってとこですかね。弾の大きさなんかの細かいところもありますけど、簡単にはこんなものです。」
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