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「ねぇ、僕もう帰るよ。」
「おいおいまだ来たばっかりだろ。もうじき松井さんも来るんだから、もう少しここにいろよ。」
飲みに連れてってくれるなんて言うから鉄平さんについてきたけど、連れてこられたのはクラブで、早速ナンパをし始めた鉄平さんに思わず溜息が漏れる。
この人のことだから、どうせ安いチェーンの居酒屋かと思ってたけど。
その想像の数段上をいく破天荒ぶりに、僕は早くも家に帰りたくなってしまっていた。
別に女の子に興味がないなんてことではない。
モテないわけでもないし、選ぶのであれば人より選択肢は多いほうだとも思う。
でも、これといってどれもパッとしないんだからしょうがない。
金曜日の夜だというのに。
あんなことがあったから余計に遊ぶ気にもなれず、楽しそうに女の子と話しをしている鉄平さんを、僕はただぼんやりと眺めていた。
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