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「少し時間ある?」
「え?」
「すぐそこによく行くバーがあるんだけど、どうかなって。あっ、無理はしないで。池田さんお酒弱いみたいだし。」
チラりと時計を見る仕草をとってから、じゃあ1杯だけねと笑うと、藤原太一は良かったと言って少しだけ早歩きになった。
そして、そのまま先導する藤原太一に着いて行けば、本当に馴染みの店なのかわかりにくい地下へと続く階段を降りて行った先に、ブルーのライトでオシャレにライトアップされたZEROという店に案内された。
「池田さん何飲む?」
「あ、じゃあ藤原くんのお勧めで。」
そう答えると、何にしようかなーなんて言いながらメニューを開いているあたりはやっぱり女慣れしているに違いない。
そんな彼を前に気は抜けない。
少なからず、私があそこにいたかもしれないときっと疑惑を抱いている。
まずはそれを掻き消さなければ。
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