第1章

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「はぁー…」 真琴は、手に数学の課題を持って部活へ向かう。 案の定、このまま数学で赤点を取り、授業も真面目に受けられないとなれば、落第点を付けざるを得なくなる。とキツく叱られてしまった。 スポーツ推薦で内定を貰っている真琴にとって、最悪の状況である。 「…なぁーんか、前より眠いんだよなぁ。急にスコンって眠くなるし…」 桐島から渡された課題を眺めて、また大きなため息をついた。 ここ数日、真琴は急な睡魔に悩まされていた。 授業でも、通学でも、部活でも。 最近所構わず眠気が襲ってくる。 それも、コックリコックリと船を漕ぐような可愛らしいものではない。 結構ガッツリ寝てしまう。 「…って言ってる間に、また眠い~」 真琴は、教室で荷物を纏めながらまた襲ってくる眠気に耐えた。 秋には最後の大会がある。 走り高跳びで自己新記録を目指す真琴にとって、部活は貴重な時間だ。 大切な時期の今、現在進行形で机に突っ伏して眠る真琴。 静かな教室に、外から運動部と吹奏楽の練習する音が流れ込んでくる。 その音を子守唄に、真琴はどんどん深く眠っていく。 まだ夏の日差しが残る中、額に薄く汗を滲ませて、深くなる眠気の中で声を聞いた。 ー 見つけた。ー 誰もいない、放課後の教室で響いた声は、静かに外の音に紛れて消えてしまう。 眠る真琴は、またあの夢を見た。 吹き抜ける風と、どこまでも広がる青。 遠くに見えるぼやけた地平線と、緑の草原。 これが、全てが始まりだった。 ...fin.
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