4/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
 ひょっとして何かのギャグか? などと考えながら問答無用で再起動を試みるも、当然のごとく操作は受け付けない。  いっそ物理的な方法で電源を落とそうかとも考えたが、パソコンのダメージを考えればできれば避けたい選択肢である。  そうこうしている内に、画面表示が変わっていく。さっきのは間違えましたとばかりに、今度はごく普通の書体で、簡素なメッセージボックスが現れ文字が表示される。  ――『将棋は知ってるけど遊び方が分からないし、という方にも安心!』  ――『詳しい遊び方やルールを知らなくても、簡単に楽しめます』  いや、さすがに無理だろ、と悠樹は苦笑。  敵の弾や攻撃を避けつつ進めればいいアクションゲームやらシューティングゲームとは訳が違う。詳しい遊び方はおいおい覚えるとしても、将棋はルールを知らなければ勝負にならない。  まあ広告みたいなもんだし、敷居を下げるに越したことはなかろう。始める前から『難しいから覚悟しろ』なんて言ってくるゲームを今時誰が遊ぶという話だ。  ――『時間は数分あれば十分、簡単に体験できます』  ――『刺激的で爽快な勝負の世界があなたを待っています』  これはひょっとして、将棋という名の新しいゲームなのだろうかとすら思えてくる。  やろうと思えば数分で終わる事も可能だし、脳みそ常時フル回転の頭脳戦だから頭脳にとっては刺激的なのかもしれない。勝ったときの爽快感というのも確かにあるのだが。  ――『興味のある方は、今すぐクリック!』  そして画面中央に現れたるは、『対局』という名のボタン。そしてマウスカーソルが復活。さっさと押せと言わんばかりに。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!