プロローグ

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ーーー目がさめた俺は、下校放送を聞いた。 「え……」 慌てて美人教師との会話のあとのことを思い出す。 たしかあの後……もう一度寝ることにして…午後の授業の前には起きて教室に戻るつもりだった筈だ。 ……なのに。 白藍色のカーテンは、夕陽の色に染まっていた。 窓の外も、放課後の生徒達の声で賑やかになってきている。 「嘘だろ……」 思わず呟く。 どうやら丸々1日寝過ごしてしまったようだった。 この後、荷物を取りに教室に戻る必要があるが、出会ったクラスメイトに一体何といえばいいのだろうか。 恥ずかしいにも程があるぞ。 「……とりあえず……起きよ」 おおきくため息をついてから、ゆっくりと起き上がる。 座ったままかけ布団をたたみ、スリッパに足をかける。 そしてようやくよいしょと立ち上がった俺の目の前に…白衣の女性が立っていた。 「一ノ瀬君、おきた?」 驚く俺に、その女性はクスクスと笑いながら話しかけてきた。 「調子はどう?」 さっきの美人教師……ではなかった。 だがこの女性もかなりの美人だ。 「あっ………大丈夫です!…すいません、寝すぎちゃったみたいで」 仮病に懲りた俺が素直にそう言って謝ると、彼女は 「いいわよ、ぐっすり寝てたから起こすのも可哀想で………ごめんね」 と言ったが、すぐにニヤッと笑い、 「起こした方がよかった?」 と言った。 そして、ぐいっと近寄る。 顔を至近距離で覗き込まれ、思わず赤面。 「~~~!」 真っ赤になった顔を見られたくなくて、さっと顔を背けた。 俺って………なんかチョロイ…。 「えっと……大丈夫です…おかげですっかり元気になったんで……はは」 目をそらしつつ、必死にそう答える。 なんだこの人、近すぎるだろ。 だが、俺の内心の焦りなんてまったく知らない彼女は、 「そ!なら良かった!」 また二カッと笑った。
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