プロローグ

7/9
前へ
/29ページ
次へ
なんか、さっきの人と違って、気さくな人だな。 そう思った時。 コンコン。 コンコン。 ん?ノック?誰か来たのか? 「あ、夏乃かな」 「夏乃…?」 「ん?ああ、夏乃。ま、私の助手みたいな子」 助手………。 「一ノ瀬君、悪いんだけどもう少しだけここにいてくれない?」 え? 「君1日じゅうここにいたから、証明書書かなくちゃ。私も手伝うけど、夏乃が来ちゃったからその後でもいい?」 なるほど。 まあこの際どれだけ居ても一緒だ。 「はい、いいですよ」 俺の返事を聞くと 「ん!さんきゅ!じゃ、あとでね」 そう言ってカーテンを閉めて出ていく。 白衣の後ろ姿を見送ると、制服のポケットを探る。 「…ケータイケータイ…」 スマホを取り出したが、ふと考える。 ……いや、ちょっと待て。 せっかくだし……… 少し様子を見てみるのもありなのではないか。 助手なんてやるのがどんな子なのか、気になる。 少し趣味が悪いような気もしないでもないが、好奇心には勝てまい。 決して美人を眺めたいだとかそんなことは思ってないぞ。 まあ、あの教師に知られたらまたしつこく笑われることになりそうだが…。 ………ま、バレなきゃ、いいだろう。 ここは、思いきって覗こう。 「……失礼しまーす」 一応そう言って、ベッドの上を這って、隅へ行き、カーテンに手をかける。 そっと、ほんの少しだけ、カーテンを開く。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加