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漂い続けていく日か過ぎた頃、わたしを見つけたニンゲンがいた。
わたしは長い旅の末に、外海からリーフを越えて内海まで運ばれていて、しかしまだ水に浮いていた。
彼は海水浴を楽しみに来たようで、ゴーグルにシュノーケルという格好でわたしの前に突然現れた。
わたしが彼の前に現れたと言う方が正しいかもしれない。
彼はとても驚いていたのだから。
目を見開いてわたしを見た彼は、次の瞬間には手に持っていた魚取り網でわたしを捕まえると、言った。
「すっげぇ!すっっげぇ綺麗」
わたしはわたしの身体を見ることが出来なかったし、ただ漂うだけのわたしの何が綺麗なのか分からなかった。
ただ、彼はわたしをとても気に入ってくれて、わたしも好意を嬉しく感じた。
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