第1生 僕の役目

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「死にたい。」 本気でそう言う声の前に、僕は現れる。 そうして聞く。 「死にたいのかい?それは何故?」 そうするとほとんどがこう言う。 「生きているのが辛い。」 僕はその人間をじっと見たまま、 「じゃあ僕が魂を連れて行ってあげようか?」 って言うと、半分は驚いたような怯えた顔をして、 半分は縋るような顔をして僕を見る。 前者にはその時点でこう言う。 「君の魂はまだ生きたいみたいだね。死ぬのを怖がっているよ。」 って。そうすると俯くか、逆上するかなんだけれど、 僕は静かに隣に座って、何があったのかただただ聞いていることに徹する。 人間でいうカウンセラーみたいな感じで。 人生経験だけは豊富だから、いろんな知識も増えたし、 気持ちを察するのも、難しくはなくなった。 そうしてキツネのぬいぐるみを置いていく。 「辛くなったら、そのキツネに話しかけておくれ。  それを通して、僕は君の話を聞いているから。」 そう言って。
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