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「死にたい。」
本気でそう言う声の前に、僕は現れる。
そうして聞く。
「死にたいのかい?それは何故?」
そうするとほとんどがこう言う。
「生きているのが辛い。」
僕はその人間をじっと見たまま、
「じゃあ僕が魂を連れて行ってあげようか?」
って言うと、半分は驚いたような怯えた顔をして、
半分は縋るような顔をして僕を見る。
前者にはその時点でこう言う。
「君の魂はまだ生きたいみたいだね。死ぬのを怖がっているよ。」
って。そうすると俯くか、逆上するかなんだけれど、
僕は静かに隣に座って、何があったのかただただ聞いていることに徹する。
人間でいうカウンセラーみたいな感じで。
人生経験だけは豊富だから、いろんな知識も増えたし、
気持ちを察するのも、難しくはなくなった。
そうしてキツネのぬいぐるみを置いていく。
「辛くなったら、そのキツネに話しかけておくれ。
それを通して、僕は君の話を聞いているから。」
そう言って。
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