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頭がついていかない。
茅乃と陽介の会話を聞くのが精一杯で、言葉は一切出てこない。
なんて言っていいかが全くわからない。
高校で再会した時は、そんなこと言ってなかった。
『ずっとあなたが好きだから。』
そう言われて、嬉しいと思った。
ただ新しい彼女がいる手前、手放しで喜ぶわけにはいかなかった。
あれはなんだったんだよ。
よくわからない感情がグラグラと沸いてくる。
「美咲が昔から、俺は一生結婚しない!って宣言してたのは、かやちゃんの為だったのか…」
普段感情を顔に出さないのに、陽介の表情が少しだけ曇った気がした。
もしかして、陽介は茅乃のことが好きだったのかもしれない。
「あ、それは別に私のためじゃなくて、相手の為に結婚しないって言ってたんだと思うよ。」
「どーいう意味?」
「もうすぐ美咲の命日だね。ちょっと思い出話に付き合ってくれる?」
そう言って席を立った茅乃は、バーカウンターの中にいた男の人に話をしに行った。
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