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地元に帰りたくないのは、元嫁の奈々に会いたくないから。
あいつが男と子供を連れて歩いている姿を見たくないから。
理由はそれだけではないが、半分以上を占めているのはあいつだ。
もう4年も経つのに未だに憎しみが消えない。
我ながらしつこい男だと思う。
「いいよ、もー関係無いし。夜は飲みに行くんだよ。お前も行く?」
土壇場になって、一人で茅乃に合う勇気がなくなってきた。
陽介なら、茅乃も知ってるし大丈夫だろう。
「行く行く!誰と飲むか知らないけど。」
「…会えばわかる。」
茅乃との仲は、誰も知らない。
ずっと隠したがったていたから。
地元に帰ってまず会いに行くのが茅乃だと知られると、説明するのがめんどくさかった。
「ま、知り合いならいいや。」
何か思うことがあっても、深く掘り下げて聞こうとしないのは、陽介の良いところだ。
でも女の子たちからは、陽介の短所だと言われる。
自分に興味を持っていないと感じるんだとか。
女心はわからない。
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