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「お前にとってあのこはどういう存在?」
仕事の昼休み、蕎麦をすすりながら同僚の陽介が聞いてくる。
「何、急に。」
何を聞かれてるのかは分かってる。
けど、わからないふりを決め込む。
「かやちゃん。」
少しできた間の後に確信を突かれる。
「あー、可愛い妹だと思ってるよ。」
ふーん、となにかもの言いたげにこちらを見る陽介の顔を見れず、テレビの中の高校野球に目をやった。
ー可愛い妹。
我ながら都合のいい言葉であいつを縛ってるなと思う。
受け入れることも、手放すことも出来なかった。
茅乃にとって一番残酷な立ち位置。
そんな茅乃の存在が、心のよりどころだった。
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