9人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな歪んだ恋愛観を話し込んでいるうちに、はまっていた渋滞も抜け、いつもなら2時間の道のりを4時間かけてやっと地元に戻ってきた。
陽介と談笑しながらも、自分の体がこわばっていくのがわかる。
4年間で癒えたと思った傷は、ただ目をそらしていただけだった。
指先が冷えてきて、嫌な汗をかく。
『帰ってくるんじゃなかった』
今から一人ででも、家に帰りたい。
ここから離れたい。
「海、見に行こうか。」
何もかもお見通しのような陽介の言葉は、少し気持ちを楽にしてくれた。
このままこの道を進んだら、奈々の親がやっている病院がある。
一番通りたくない道は、地元につながる一番の近道だった。
最初のコメントを投稿しよう!