branch 2

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夏の夕方はまだまだ明るくて、若いカップルや親子連れが海水浴に来ていた。 昔は何も考えず海ではしゃいでいたはずなのに、今はなんとなく海が怖い。 引きずり込まれるんじゃないかと不安になる。 「昔あそこで大地が溺れてたのに、みんな遊んでるだけと思って助けなかったことあったじゃん。」 「あったねぇ。ちづが助けに行かなかったら、多分あいつ沈んでただろ。」 「あん時から、ちづは大地が好きだったんかな?」 多分、大地を含めて誰も千鶴の気持ちは知らないと思う。 中学生の頃、なぜかずっと千鶴の恋愛相談にのっていた。 大地を好きになったのは、小学生の頃らしい。 『きっかけは覚えてないけど、隣の家のやんちゃ坊主をほっとけなかった』 と言った顔が、やけに可愛く見えたのを覚えている。
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