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「ただいま。」
玄関に入ると、可愛い弟妹が走って迎えに来てくれた。
「草一朗遅い!どこで道草食ってんだよ!」
「響ちゃん口が悪い!草ちゃん、おかえりなさい!」
小学生になって生意気さが出てきた響也と、それを咎めるお姉ちゃんな鈴音。
近所でも可愛いと評判の双子は、今の自分にとって唯一の癒しなのかもしれない。
「遅くなってごめんな。渋滞がすごくて。」
響也の髪をくしゃくしゃと撫でていると、鈴音が荷物を持ってリビングへ向かっていった。
「お帰りなさい草一朗くん。疲れたでしょう。」
「ただいま。運転してないから大丈夫だよ。」
リビングでは母親が、優しい笑顔で迎えてくれた。
「春樹さん、もう直ぐ帰ってくると思うんだけど…『今夜は草一朗の好きなすき焼きだー』って張り切ってお肉買いに行ったのよ。」
「あれ?俺親父に、今日晩飯いらないって言ったのに。」
「えー!?…さすがね。」
そう言いながら笑顔を絶やさないこの女性が、何故あんな抜けた人と結婚したのか不思議で仕方がない。
来月誕生日の弟妹に買ってきたプレゼントを渡していろいろ話を聞いていると、いつの間にか予定の時間を過ぎていた。
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