翼が一羽

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 お昼休み後の、憩いの一時(ひととき)。 「なぁ、午後の授業をフケようぜー」  と阿久津を誘っても、こいつは全く乗ってくる気配すらない。 「お前は不良かーっ!」だってよ。  逆に真面目かっ! 阿久津ぼっちゃん。 「不良じゃなくても授業くらいバックレんぞ」  俺がそう言ってやったら、ハァ? という顔で淡々と言いやがる。 「まだ入学したてだろ。どこにそんな早い時期から授業サボってる奴がいるんだよ」 「ここに居るだろ」 「えっ?」  この、え? という顔になった時の阿久津が、チョー可愛いのだよ。 「お前もうサボったことあるのか? 俺は知らないぞ。そんなの見てないし」  なんでそう本気に取るかな。阿久津もぉー可愛い奴め。 「いや冗談だ。でも不良はサボってんじゃねーのかな? もう」 「お前は不良でもなんでもないだろう」  確かに……  その時──。  俺がせっかく阿久津を弄って遊んでいたのに、先生の野郎がもう来やがった。午後の授業というのが今から始まるらしい。 「ここの高校は号令は無いのか?」 「号令?」  隣の席のツンケンした女に聞いたら、怪訝な顔をされただけだった。  なにか変なことでも言ったのか? 俺?  まぁ良い。照れ隠しなんだろう。
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