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荒々しく噛み砕かれたそれが、食道を通過し、胃に到達した時。私の胃は感動に打ち震えるかのようにふるふると痙攣した。その痙攣は、昨夜まで感じていた不快なものではなく、私にとってこの上なく心地よいものだった。まっさらなままの生肉を食らい、消化していく事が、今の私には至福の喜びであったのだ。私はたまらず、買ってきたパックを次々に開け、片っ端から食いついていった。そうやってただ夢中でむしゃぶりつきながら、私はいつしか涙すら流し始めていた。ずっと欲していたものにようやく出会えた、その感動に。
こうして私は、気がついた時には、買ってきたばかりの肉を全て平らげてしまっていた。その少し前に、コンビニで買った幾つもの惣菜を食べ尽くしていたにもかかわらず。私の内臓は、どこまで貪欲になってしまったのだろうか? しかし、それを本当に実感したのはその後だった。すでに普段一日に食べる量よりもはるかに大量の食物を腹に入れているはずなのに、私の内臓はまたしても飢えを感じ始めていた。まだ足りない、まだ食べたいと訴えていたのだ。食べれば食べるだけ快感を得られる事を覚えてしまった、あの生肉の味を。
私は再び自転車に乗り、今日三度目の買出しに出かけた。さすがに一日に何度も肉ばかり買っていては怪しまれると思い、さっき行ったスーパーと肉屋には寄らず、いつもは行った事のない隣町近くのスーパーにまで足を伸ばし。それからまた何軒もの店を回り、買えるだけの肉を買い込んだ。一体どれだけの量があれば、自分のこの欲求を満たす事が出来るのか見当もつかなかったのだ。
そして、アパートに戻った後の私は、ただもう肉を食らうだけの存在と化していた。ある程度の量を胃に入れれば一時的には満足するものの、しばらくするとまた体が肉を欲し始めるのだ。それはまさしく、生肉に対する禁断症状のように思えた。そして私の内臓も、このとてつもない肉の量に全くひるむことなく、次々と消化と吸収を繰り返し続けていた。
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