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 そして、翌朝。私はいつになく爽快な気分で目を覚ました。驚くべき事に、昨夜寝付くまでしつこいくらいにまとわりついていた腹の違和感は、すっかり消えうせていた。それどころか、体中に充実感というか、力がみなぎっているような気がする。これは、あの作家仲間の言っていた、「体に生命力が満ち溢れる」ってのもまんざら嘘じゃないのかもなと。昨夜までの不快感はどこへやら、私は現金にもそんな事を考えていた。  すると、消え去ってくれた不快感の代わりに、今度は私の胃腸が急激に空腹感を訴え始めた。まあここ何日か、まともに食事をしていなかったのだから無理もない。昨夜炊いたご飯がまだ炊飯器にあったよな、それに冷蔵庫には納豆があったはずだ。私はこの久々に味わう空腹感を満たすため、とりあえず納豆ご飯をかき込む事にした。  ……だが。どんぶりによそったご飯の半分も食べないうちに、私は箸を置いてしまった。空腹が満たされたわけではない。いやむしろ、少しも食べ物を腹に入れたことで、ますます空腹感に拍車がかかったような気がする。ただ、お腹に入れたものに、満足出来なかったのだ。私が食べたかったのは、これではない。「私が」というよりは、「私の胃が」と言った方がいいだろう。その場しのぎの納豆ご飯などでは、私の胃が訴える空腹感を満たす事など出来なかった。私の胃は、それがまるで私の本質であるかのように、強欲にあるものを欲していた。 「……肉だ!」  私はそれに気付いた途端、いてもたってもいられなくなり。部屋を出ると、アパートの外に置いてあった自転車に飛び乗り、近所にあるコンビニへと向かった。
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