第1章 ハロウィン

4/5
前へ
/5ページ
次へ
風香は放心している千夏に近づき 「あんた私の千夏に何てことしてんのよ!!」 「お前のではないし飴をもらっただけだ」 しれっと答えると気に入らないのかぎゃんぎゃんと噛みついてくる 「はぁ、悪かったよ。 これでいいだろ?」 「死ねっ!!」 彼女が蹴りを入れてくる。 「お前ら、煩いから少しは静かにしろ」 いつの間にか入ってきていた担任の高田 裕樹が注意を促してきた。 「あれか、お前が持ってきたお菓子の山が原因か?」 彼が聞いてくる 「違うんです、先生。 彼が千夏の純情をもてあそぶんだんですっ」 「もてあそんでねぇよ 本気だ」 「余計に立ち悪いわっ」 言い争う姿を見て飽きれたのか 「わかったわかった、桜井が何かされたんだな。それで? お前は嫌だったのか?」 聞かれて立ち尽くしていた千夏がやっと我に返って声をあげた 「えっと・・・その・・・わからないです・・・」 そのまま他に何かを言われるでもなくホームルームが始まった 昼休み、千夏が食後のお菓子を食べている姿を見なかった。 「千夏ぅ お菓子食べるー?」 風香が聞いても 「今はいらないかなー」 そう答えるのだった 放課後、逃げるように帰る千夏を先回りするように家の前に待機していると千夏が家の前付近の公園まで来た 「よう、今日はあんまり食べてなかったな」 「和也くんっ!? なんでっ!?」 顔を真っ赤にして訪ねてくる彼女はとてもかわいらしく見える。 元々が可愛いのだが 「朝、和也君にされたことを思い出したら食べ物を食べなくても胸がいっぱいになるの」 「そうか・・・悪かったな」 「ううん、いいの。 私は自分の気持ちに気付けたんだと思う」 「気持ち?」 「うん・・・ わたし和也君が好き。 お菓子をくれるときに必ず話してくれるから」 告白、自分からするはずだったのに唐突に切り出してきたことに少し驚く。 「私は、お菓子じゃなくてご飯でもなくて和也君がくれたものが嬉しかったんだなって気付いたの。 だからっ!」 俺は千夏の言葉を遮るように 「俺はさ、最初見た時から千夏のことが好きでさ どうしたらこっちを見てくれるんだろって考えてた。」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加