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「正貴、遅かったな!」
「悪いな、先生に呼び止められて…。どうして邦都受験をやめたんだってうるさくて…」
「そりゃそうだろ?彼氏と同じ高校に行きたくないのかよ…?」
彼氏…まあそうなるか。
ここは俺が通う中学からごく近い場所。
周りには下校中の生徒で溢れかえっている。
こういう場所でのアピールは重要だ。
「俺が邦都に行かなくてさみしいんだろ?亮。だけど同じマンションに住んでるから、いつでもすぐに会える。さ、早く帰って2人きりになろうぜ」
俺は公立中学の3年生。
いま一緒にいる幼馴染みの"本宮亮"は、私立の名門『邦都学園』の中等部3年生。
本当なら俺も邦都学園に通うつもりだった。
中等部受験の前日にインフルエンザに罹患したため、試験すら受けられないという失態を犯したのだ。
邦都学園は中高一貫教育。
中等部がダメでも高等部から入ればいいと、暢気に考えていた俺。しかし、中等部に通う亮からの情報を聞くうちに、邦都学園を受験する気なんて失せてしまった。
俺は……亮とは人種が違うからな。
亮を否定するつもりなんてない。むしろ、助けられているんだから。
持つべきものは親友だ。
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