アイツの眼鏡に適う男になりたい①

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ペコっと頭を下げて、テニスコートへと向かうジョーの後ろ姿を見送る。 さて、俺は書庫で休憩を兼ねて読書の続きでもしよう。 なんて言いながら、テニスコートの様子が気になって仕方なくなること間違いないが。 ジョーの存在を知って約1年。 最初見た頃はまだまだ下手だと思っていたけど、ずいぶん上手くなったようで成長が感じられる。 真面目に練習に取り組んでいるその姿勢にも好感が持てるのだ。 そんなジョーに気安く話しかけるテニス部の男にはイライラさせられるけど、肝心のジョーはあっけらかんとしていて、俺に見せるような照れやハニカミを見せている様子はない。 ギリで許してやろう。 今日は金曜日。 昼休みにいつものように書庫でくつろいでいると、やはりいつものようにジョーと友達の話し声が聞こえてくる。 「フィリップ先輩のあの笑顔は反則だよ~!私、先輩の…眼鏡になりたい!!」 …………ん? どういうことだ?? その後のジョーと友達の会話は、告白のことだったり、金木犀の花言葉だったり、俺をデートに誘うの誘わないのとか……。 だけど俺は『先輩の眼鏡になりたい』ってフレーズが頭にこびり付いて離れなくなってしまっていた。
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