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ペコっと頭を下げて、テニスコートへと向かうジョーの後ろ姿を見送る。
さて、俺は書庫で休憩を兼ねて読書の続きでもしよう。
なんて言いながら、テニスコートの様子が気になって仕方なくなること間違いないが。
ジョーの存在を知って約1年。
最初見た頃はまだまだ下手だと思っていたけど、ずいぶん上手くなったようで成長が感じられる。
真面目に練習に取り組んでいるその姿勢にも好感が持てるのだ。
そんなジョーに気安く話しかけるテニス部の男にはイライラさせられるけど、肝心のジョーはあっけらかんとしていて、俺に見せるような照れやハニカミを見せている様子はない。
ギリで許してやろう。
今日は金曜日。
昼休みにいつものように書庫でくつろいでいると、やはりいつものようにジョーと友達の話し声が聞こえてくる。
「フィリップ先輩のあの笑顔は反則だよ~!私、先輩の…眼鏡になりたい!!」
…………ん?
どういうことだ??
その後のジョーと友達の会話は、告白のことだったり、金木犀の花言葉だったり、俺をデートに誘うの誘わないのとか……。
だけど俺は『先輩の眼鏡になりたい』ってフレーズが頭にこびり付いて離れなくなってしまっていた。
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