アイツの眼鏡に適う男になりたい②

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驚いてビクッと固まったジョー。 「要らねえのなら、俺がもらう」 有無を言わさずコミックを奪った代わりに、ポカンと見ているジョーに言葉を投げかける。 「なんか文句ある?俺が優太にやったんだから、これでチャラだよな?」 だってそうだろ? 本当なら俺は自分のためにコミックを買ったわけで、ジョーは優太のために買ったんだろ。 それが入れ替わっただけ。 俺にしてみれば自分で買ったのよりジョーが買ってきたヤツの方が、価値は上だ。 ジョーが俺のために買ってきてくれたようなもんだからな。 チャラどころか、得してるのも同然。 今のジョーにそこまでの理解を求めるのは酷な話か。 それに本屋に返しに行くって事は、また本屋のお兄さんとやらに会うつもりなんだろう?ジョー。 そうはさせるかってんだ。 しっかり掴んだジョーの左手を離さずに、とりあえずここを出ることに決めた。 「じゃ俺帰るわ、亮。優太またな。で、姉貴は借りて行くから」 掴んでいるジョーの手がビクッと震えたが、離したりするもんか。
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