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まさかのまさか…俺だって気付いてなかったのか?
それじゃなんとか誤魔化すことだって出来たんじゃないのか…。
ああ、俺としたことが。
「あ!!フィリップ先輩!?」
顔を逸らしていたけど、急に呼びかけられジョーの方を向くと『しまった!!』って顔して口を覆っている。
………おせーよ。
俺に気付いたジョーは、マジマジと俺を見つめてきた。
『本物?』とでも思って確かめてるってとこだろう。
風が吹いて、金木犀の香りがどこからともなく漂ってくる。
これから先、この香りを嗅ぐたびにジョーを想うんだろうか?俺は。
「すっすみません、先輩…。だって眼鏡………」
そうだな、今日は眼鏡をかけていない。
いつもと違う髪型やこの私服も、今日ジョーに見せる事になるとは思っても見なかった。
初めて素顔の俺を見せる時は、ちゃんとプランを立てて…。
納得のいくような形を演出したかったのに。
どうしてこうなってしまったんだ?
不可抗力だったとはいえ、イラついてしまう。
マジでだせーな。
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