アイツの眼鏡に適う男になりたい②

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「まさか、亮の従妹だったなんてな。世間は狭いな」 「あの…先輩、眼鏡は?」 よっぽど気になるのか眼鏡が。 目が悪いって思ってるんだったら当然か? 「ああ…。あれは学校用だ。真面目な図書委員長でいるためのアイテムだよ」 もう隠したって意味ないだろう。 学校での俺は、俺が作り上げた仮の姿だってことだよ。 「じゃ、いまはコンタクトなんですか?」 伊達眼鏡だってことだけはまだ知られずに済みそうだけど。 コンタクト入れてきて正解だったな。 「そうだけど?瞳の色よく見てみな」 見えやすいように顔をグッと近付けてやる。 ちょっとだけ身体がビクついたようだが、興味が勝ったのか遠慮がちにおずおずと瞳を覗きこんできた。 こんなに至近距離で見つめ合ってるなんて、不思議な気分だ。 初対面の衝撃的な衝突を思い出し、笑いが込み上げたが何とか堪える。 吹き出すような場面ではない。 TPOをわきまえるのも大切だからな。 ここは俺にとって大事な場面だ。 準備不足なだけに、ミスはご遠慮願いたい。
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