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「正貴、また会ったわね」
…………あ、どうしてここにいるんだ?
「……かほる。お前また俺の眼鏡を!返せよ!!」
こいつは、いっつも会うたびに俺の眼鏡をかけている。
一体どういうつもりなんだ?
この書庫を俺が使わせてもらってるって事は、三島先生と俺しか知らないはずなのに。
やっぱり鍵をかけておくべきだったか。
「悪いけど、俺もう帰るから。この部屋鍵をかけなきゃいけないし、出てくれるか?あっその前に俺の眼鏡を返してもらおうか」
催促するように手を差し出したのに、かほるは黙ったままじーっと突っ立ったまま俺を見ている。
「おい、聞いてるのか?眼鏡を返せって言ってるんだけど」
それでも返事を返すことなく黙ったままのかほるに、苛立ちを隠せなくなってつい睨みつけてしまう。
「へー。そんな目で見る事もあるんだ。いつも穏やかなくせに、そういう風に感情をむき出しにすることもあるのね?」
コイツ……何がしたいんだ?
コイツが俺の前に現れると、調子が狂ってしまう。
「いいから早く眼鏡を返せよ!俺は一刻も早くここから立ち去りたいんだよ」
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