アイツの眼鏡に適う男になりたい③

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「へぇ、もう帰っちゃうんだ。もう少しここにいた方がいいんじゃないの?」 は?何でだ? お前と一緒にここにいるくらいなら、早く帰った方がましなんだよ。 「悪い事は言わないから、もう少しここにいた方がいいわよ。いま帰ってしまったらあとで後悔するんだから」 訳が解らない。 もうどーでもよくなってきた。 それにしても…………似合わねーな、眼鏡。 「なぁ、かほる。お前はどうして俺の前に現れるんだ?」 そう言えば、前に会った時は髪を下ろしていたな。 まるでこの前病院であったジョーみたいに。 ………ん? 今日のかほるはポニーテール、だよな。 「おい、今すぐに眼鏡を外してみてくれよ」 さっきからずっと眼鏡を返せと言い続けてるけど、いまのは意味合いが違う。 単に眼鏡をかけていないかほるを見たかったんだ。 前にコイツから眼鏡を取り返した時は、俺が眼鏡を外して一瞬だけ見えた、眼鏡をかけていない顔が……。 思い出そうとしてるのにどうしても思い出せない……。 「お断りします」 にっこりと微笑んでそう言ったかほる。 あれ?これって確か前に……。  
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