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俺がジョーに言った台詞と全く同じじゃないか。
「……かほる。お前ってもしかしたら」
「そんなに私が眼鏡を外したところを見たいんだったら、自分で外してみなさいよ」
そうか、この前みたいに俺から外して欲しいんだな?
それならそうと早く言えよな。
手を伸ばし、眼鏡に手が届こうかというその瞬間に俺の手は空を切った。
「残念でしたー。私はここよ」
気が付くと、かほるはドアの前に移動していた。
いつの間に?
逃げるんだったら追うまでだ。
俺もすぐにかほるにまた近付くが、眼鏡に手をかけようとするともう、その場にはいない。
躍起になった俺と、あくまで冷めた態度のかほる。
しばらく追いかけっこが続いたが、さすがにヤル気を失くした俺は、ソファーに身体を投げ出した。
俺が諦めたのを知って、今度はかほるのほうから俺に近付いてきた。
フン、どうせまた手を伸ばせば消えるんだろ?
もうその手には乗らねーよ。
俺はソファーに横になったまま、目を閉じた。
俺の傍に近付く気配。
かほるが何か言葉を発するのを待ったけど、何も聞こえない。
……………。
結局我慢できなくなって、目を開けてみた。
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