第1章 商店街

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都心にある商店街の奥。 古ぼけたコーヒー屋は 決して目立たないが ひっそりと人気を集めていた。 午前9時。 本来ならば私はいま 学校の机に座り授業を受けているはずだった。 言い訳をするなら、 昨日アルバイト先から帰宅するのが 11時を過ぎていて寝るのが遅くなり 寝坊した。 それでも急いで準備をしたら 間に合う程度だったが 最初から学校に行く気がなかった。 私の学校は高等学校ではめずらしい単位制で 校則もなく、もちろん制服もない。 自由のきいた学校で公立だったから とても人気の高い学校だった。 そのため入学するのは難しい。 時は奇跡を起こすという。 この学校に入学するために 遅くまで受験勉強を頑張った。 でも私が入学できたのは きっと奇跡とかでは済まされないだろう。 コーヒー屋で私はいつも モーニングセットを頼む。 焼いたパンに卵とハム、レタスを はさんだサンドウィッチが シンプルだけど美味しい。 セットのドリンクはいつも アイスカフェラテ、それとシロップ。 大人びてコーヒー屋に入るのはいいが いまだにブラックは飲めない。 モーニングセットを受け取り いつもの席につくと カバンから勉強道具を広げる。 サボった分追いついて行くため。 午前10時を過ぎると 商店街のシャッターがいっせいに あがる。 キーキーとなく音は どこかあたたかさを持っていて、 忙しい平日の朝を告げていた。
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