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二十年に一度、『霧の城』の主に若い娘の生贄をささげる。
それが、このあたり、宵(しょう)の国、青河州青龍山(せいがしゅうせいりゅうざん)のふもとに点在する小さな村々に課せられた宿命だった。
霧の城というのは、青龍山の山腹に建つ古い大きな城のことである。
正式な名を青龍城といい、青河州が宵に支配される以前、かつてこの地を治めていた龍氏の城であったのだが、青龍山の中腹より上は一年を通じて霧に覆われていることが多く、ふもとの村々に城がはっきりと姿を見せることは珍しい。
それで霧の城と呼ばれるようになった。
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