四、老婆

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 それは、とても小さな老婆だった。  曲がった腰、皺くちゃの顔、しわがれた声。 真っ白い髪を結い上げ、闇に紛れてしまうような暗いねずみ色の質素な服に肩掛けを羽織っている。  秋の草が夜風に揺れる中、老婆は杖をついたまま紅をじっと見た。
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