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「あ、あたしこそごめんなさい、眠ってしまって、気づかなくて」
紅は慌てて樽の外に飛び出すと、文のそばに駆け寄った。
「ああ、やっぱり冷えてしまいましたよね。すみません!」
「いえ、婆(ばば)のことはお気になさらず。しかし、奥様がお風邪を召されては一大事です。どうぞ中に入ってくだされ」
「あ、あの、でも、あたし…」
「軽い羹(あつもの)の用意もございますよ」
「えっ」
羹という言葉に、紅は思わず反応してしまった。
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