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インテリア商品を手掛けるデザイナー、つまりはプロダクトデザイナー。アドバイサーとして活躍できる人。そして、香織。
その三点に結び付くものは、きっとあの人しかいないのだろう。
周囲のテンションについて行けず黙り込んだ私に気付いた宇川が私の肩を叩く。
「香織さんはプロダクトデザイナーでは結構活躍している人なんですよ」と気遣って教えてくれた。
「……お噂くらいは聞いたことがあります」
私はざわめき立つ心中を必死で落ち着かせながら、宇川に笑顔を作る。
でも、狭い会議室の酸素がなくなってしまったかのように、呼吸は苦しくなっていた。
「今日の午後、デザイン部で彼女と打ち合わせすることになっているから、遠野も同席してくれるか?海外提携側の意見等も説明してほしいんだよ」
佐伯部長の指示に「わかりました」と返す恵吾。
今日の午後、彼女がこの会社に来る。プロダクトデザイナーの彼女。そして、恵吾の結婚相手。
恵吾と関わることになれば、いずれ彼女のことだって突き付けられることになるのは当たり前のことだった。
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