幕間【クラシリカ公爵家諜報部隊では】

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先日、公爵家の我が諜報部隊の眼を潜り抜けて誰にも知られず御一人で王都から外に出掛けられたオーゼス様は、それより数日前に無くされた亡き奥方様の形見のロケットペンダントを手に御屋敷に戻って来られた。 その時、友を得られたらしい。 オーゼス様を見失うなど、あってはならない失態をした我が部隊に名誉挽回の機会をオーゼス様から与えて頂けた。 今度こそ、オーゼス様の命令を遂行せねばならない。 (くだん)の少年、セルナ殿はオーゼス様と出会った翌日、王都の下町で薬店を営むザイル薬店の薬師見習いアイゼル少年と一緒にグランの森にて薬草の採取とハウンドベアの討伐をした。 その後、薬店主ザイル氏を伴い商人ギルドに出向き、ギルドの騒動に遭遇した。 この騒動は我が主、公爵閣下も多少、関わりがある事柄だ。 オーゼス様のみならず公爵閣下にも報告を上げねばなるまい。 しかし、あのセルナ少年は我々でも舌を巻くほどのスキル使用の技量を持っているようだ。 セルナ少年と同様の使い方を我が部隊に行わせたが数分と持たなかった。 彼を我が部隊に取り込む事が出来れば、どれ程の戦力増強が得られるだろうか。 実に惜しい事だ。
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