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ザイル祖父さんを先頭に、後ろを俺とアイゼルが横並びで付いて行った。
なぜなら、ギルドで交渉するのはザイル祖父さんだからだ。
受付の若い男性ギルド職員にハウンドベアの買い取りを申し込むと、彼はザイル祖父さんが告げた内容を買い取り専用用紙に書き出して、
「では、こちらの項目に名前と所属ギルドを御記入ください。」
と告げた。
表向きは、こんな風に、あっさり手続きが進んでいたのだが、裏では盛んに俺に感知や看破系スキルを飛ばし、俺の情報を盗れるだけ盗ろうとしている事を『気配察知』『技力感知』のスキルではなく、意外なことに固有スキルの『実地見聞』が報せてくれた。
だって使われたスキルを俺はドンドン手に入れたんだもん。
ゲット表示のテロップが俺の脳裏に流れるので丸わかりだった。
でも、そんな新しいスキルのテロップは片隅に追いやり、俺は脳裏全体に表示した『気配察知』と『技力感知』のデータに意識を集中した。
ギルド全体を完全に網羅する範囲で展開した2つの範囲スキルで得た情報を前世のゲームマップの様に、俺達に敵対心を持っている人を赤点で、敵対心は無いが技力のスキルを使用している人を青点で、その他を黒点で表示すると、まるでゲームのモンスターと宝箱をマップで見ているみたいになった。
だから、それに気が付いたのは本当に偶然だった。
何故なら俺は赤点と青点の動きを警戒していて、その他の黒点の動きは警戒から外していたからだ。
でも異常な黒点の動きに次第に俺は戦慄した。
黒点が黒点に近付くと、近付かれた方の黒点が消えた。
そして残った黒点が、また違う黒点に近付くと近付かれた黒点が、また消えたのだ。
それが意味するのは人が人を気絶させたか、もしくは殺して相手の気配が消えたから黒点表示も消えたという事だ。
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