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俺はザイル祖父さんとアイゼルを受付に置き去りにして、盛んに俺にスキルを使用して結果を報告しているだろう、その報告先に向かって走り出した。
俺の行動に、おそらくギルドの重鎮だろうと思われる人物の周りにいたギルド職員が俺の前に立ち塞がり、俺が彼の側に行く事を阻んだ。
あの黒点の動きに気が付いてから今までに5人倒されていた。
今まで盛んにスキルで監視していた俺の言葉を無下には扱わないだろうと判断した俺は、その場で警告する事にした。
俺は立ち塞がるギルド職員の後ろにいる人物に、
「ギルドの重鎮だろう?
貴方に用があるんだ。」
と話し掛けた。
「私に何の用ですか?
セルナ・ターゼス・マイルード殿。」
と彼は俺のフルネームを言った。
「やっぱり、ステータス看破系のスキルを使っていたな。
だがそんな事、今はどうでもいい。
それよりギルド内で重大事件が起きている。」
と言った俺に彼は鋭い眼光を向けて、
「それはどういう事ですか?」
と訊いてきた。
「ここから、あちらの方向に地下があるはずだ。
そこで、おそらく護衛をしているギルド職員だと思うが、彼等を侵入者が排除中だぞ。」
と俺は事件の起きている地下を指差した。
彼は、その方向を確認すると、すぐに俺を阻んでいたギルド職員の1人を呼び、何らかの指示を出した。
ギルドの重鎮だけあって頭の回転も速く素早い対応が出来る人物なんだろう。
俺の言葉を疑って時間を潰す事よりも現場に人員を送り込んで確認した方が効率が良いと判断を下したらしく、指示を出された職員は奥の部屋に駆け込んで、こういう場合に対応すると思われる職員を数名引き連れて問題の場所に向かった。
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