プロローグ

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やられた…。 同棲していたのにも関わらず、気づかなかった私もどうかと思う。 確かにここの所、帰りは遅かったけれど本人も仕事だと言っていたし疑いもしなかった。 誰の子供? なんてバカな質問はしない。 いつから? とか。 誰なの? とか。 頭を過ぎるのはほんの一瞬。 次の瞬間、意外な程に冷静な私が顔を出す。 落ち着いていたのは、やはり心のどこかでいつかこうなる事がわかっていたのだと思う。 信じていたわけではない。 疑うのが面倒臭かっただけ。 「ごめん!」 彼の方が動揺を隠せずにいたけれど、そんな言い訳を聞いてもしょうがない。 「もういいよ。わかったから」 私はさようならも言わずに車を降りた。 なんの呪いなんだろうか。 あの時と同じ、私はクリスマスに全てを失った。 いつだって別れは突然だ。 愛してるなんていう甘い言葉も。 俺だけは信用してという真摯な瞳も。 やはり信用してはいけない。
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