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思わず黙り込んでしまった。
決して思い出そうとしたわけではないのに、ほんの一瞬しか見なかったはずの、彼女の先ほどの姿が脳内を過る。
白に近い透明な肌。
デニムのショートパンツから伸びる健康的な太もも。
破られた衣類の下に、縦にのびた小さなお臍。
水色の下着に隠された確かなふくらみは、痩せてるわりに意外と大き……
思わず「わああぁあぁ!」と叫びそうになって、脳内をぐしゃぐしゃっとかき混ぜる。
彼女の悩ましい姿を打ち消した頭の中には「わいせつ行為」や「懲戒免職処分」という恐ろしい単語が飛び交っていて、パニック寸前だ。
見てない見てない。
俺はなんっっにも見てない。
そう言い聞かせて記憶のdeleteボタンをダダダダッと連打して、至って冷静なふりで杉原を見る。
同じく気まずそうにしながら目を伏せる彼女は、その頬を見事に真っ赤に染め上げて、今にも泣きそうだった。
この子はただの女の子じゃない。
俺の生徒だ。
大事な大事な生徒なんだ。
そう心に言い聞かせながら、後ろでバタバタと動き回る警察官の気配がまるで未熟な自分を監視しているように感じて、変な緊張感を抱いていた。
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