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「今日は入学式、お前の弟も入ってくるんだろ? 話題の麒麟児、鳴神薫(なるかみかおる)がさ」
「ああ、そうだ。まあ俺は一般科だから関係ないけどな」
一日の授業も終わり、俺はいつも通り紫宮京介(しのみやきょうすけ)と屋上に来ていた。売店で買ったジュースを飲みながら、フェンス越しにグラウンドを見下ろす。特にこれといって用事はないのだが、こうするのが日課になっていた。
「一般科に移ったことに関してはなにも言わない。ただな、お前には間違いなく軍事科の方が合ってると思うぜ?」
「言ってんじゃねーか」
ストローを口にくわえたまま、俺はフェンスから離れた。
「まあ待てよ兄弟」
「お前と血を分けた覚えはない」
「なんとか兄弟か……?」
「うるせーよ童貞」
俺が屋上を出れば、京介もついてくる。
階段を降り、売店のある踊り場に出た。ここにはいろんな店があり、文房具専門の売店や食品専門の売店、洋服や靴まで売っている。
私立征旺(せいおう)学園は五つの学部があり、それぞれ五年制だ。俺は今一般科に在籍していた。中高一貫であり、俺も一応中等部から征旺の生徒だ。しかし高等部からでないと学科編成はないため、中等部は普通の学校と変わらないのだ。
一般科は基本的な学力を向上させ、大学までの資格を与え、より良い就職先を提供するのが目的。
被服科は服飾についての知識を学び、そういった方面への就職を促す場。
音楽科は音楽の歴史を学び、楽器や声楽で音楽家を目指す。
医療科は看護師や医者を目指す人間が集う。
そして、俺が元いた軍事科は、軍隊へと入るための修練施設のようなものだった。また、それぞれの学科を卒業した者が教師になることも少なくない。
『トランスフィクサー』という特殊な力。それを使う者をディボーターと呼び、戦場で人を殺し、陣地を奪い合う。
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