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こんな女を相手にしている事自体が
心底、馬鹿らしいと思う
「っ…でも私は蒼志様のーーー…」
「あなたは所詮、三神家の犬だ。
今回の目論見を口にした時点で
あなたの今後の行く末は決まったんです」
淡々と言葉を放っていると
病室のドアの外に気配を感じて
俺は山田小夜に視線を向けた
「僕は未成年、あなたは成人…
児童を守る為の法律があるのをご存知ですか?
今夜の出来事を公にした時に
社会的に抹殺されるのはどちらなのか…
あなたには理解できませんか…?」
脅迫的な言葉を向けられた女の
涙を浮かべた顔が一気に青ざめていく
俺が傍に居て欲しいのは…
この女ではない事だけは確かだ
「ーーー染崎」
病室のドアの外にいるであろう執事に
淡々と呼び掛けると扉が静かに開いて
染崎が敬うように頭を下げる
「あなたも要らぬ世話を焼きましたね。
怪我人に嗾(けしか)けるのも父の命令ですか?」
俺が投げ掛けても染崎は目を伏せたまま
その口を開こうとはしない
染崎が肯定も否定もしないという事は
それが大凡の正解だという事だ
俺は大きく溜息を吐いて
染崎へと視線を向けた
「“三神家”が大切ならば
あなたも言動に気を付けた方がいい…
この意味が、お分かりですね…?」
俺が放った言葉を聞いた染崎は
微かに眉を寄せると更に深く頭を下げて…
青ざめたままの山田小夜を連れて
無言で病室を去っていった
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