3293人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
「養子じゃなくて
婿養子ならよかったのに。
私と結婚すればパパの跡を継いで
全てが手に入るわよ?」
ネクタイを襟に掛けた俺の背中に
ブロンドの女性が抱き付いて…
「“妹”と結婚する気はありません」
着替えの邪魔になる妹へ
淡々とした言葉を落とし
引き剥がすように身体を翻した
彼女は目を見開いてから
悔しそうに顔を顰めて俺を見上げる
「血なんて繋がってないもの。
パパだって、あなたとなら
きっと許してくれるわ…」
真剣に訴える妹に
俺は作り上げた笑顔を向けた
「僕は日本人ですよ?
それに君のお父上の基盤を
継ぐ者はもう決まっています」
「あなたはどうして
いつまでも拒絶するの…?
私の気持ち分かってるでしょ?」
・
最初のコメントを投稿しよう!