羨望の空

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「養子じゃなくて 婿養子ならよかったのに。 私と結婚すればパパの跡を継いで 全てが手に入るわよ?」 ネクタイを襟に掛けた俺の背中に ブロンドの女性が抱き付いて… 「“妹”と結婚する気はありません」 着替えの邪魔になる妹へ 淡々とした言葉を落とし 引き剥がすように身体を翻した 彼女は目を見開いてから 悔しそうに顔を顰めて俺を見上げる 「血なんて繋がってないもの。 パパだって、あなたとなら きっと許してくれるわ…」 真剣に訴える妹に 俺は作り上げた笑顔を向けた 「僕は日本人ですよ? それに君のお父上の基盤を 継ぐ者はもう決まっています」 「あなたはどうして いつまでも拒絶するの…? 私の気持ち分かってるでしょ?」 ・
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